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2010年10月20日 (水)

「Pro Tools HD & HD I/O試聴セミナー at 音響ハウス」レポート

10/12 音響ハウス第一スタジオに、エンジニアの山田ノブマサ氏とジャズ/フュージョンユニット 「JAM company」をお迎えし、Pro Tools HDファミリーに新たに加わったHD I/Oの試聴セミナーを行いました。

Pro Tools HDディーラーからの招待制という形式で招かれた国内トップのスタジオ/フリーランスのエンジニア/オーディオ・プロフェッショナルの皆様約40名にご参加いただき、192I/Oとの比較という形で、HD I/Oの実力をじっくり試していただいたこのセミナーの模様をご報告致します。

Seminar
セミナーの模様:山田氏の説明に熱心に聴き入るご参加の皆様

HD I/Oでバンドサウンドを録る!

今回は、単に既存のセッションファイルを再生して試聴するのではなく、素晴らしい演奏技術を持つ新進気鋭の「JAM company」の生のパフォーマンスを、ご自身もPro Tools HDシステムをお使いのトップ・エンジニア山田ノブマサ氏に、実際のレコーディング形式そのままのマイクセッティング、マイクプリ設定を行っていただき、それをPro Tools HD& HD I/Oシステムに24bit/96kHzでライブ録音した上で、音響ハウス第一スタジオの卓越したモニター環境を使ってその場で試聴するという、何とも贅沢な形式で実施されました。

比較試聴にあたっては、2台のPro Tools HD3 Accelを用意。1台目にはHD I/O 16 x 16を2台接続し32chインプットを用意し、2台目には192 I/Oをこれまた32ch入力仕様とした上で、会場となった音響ハウス技術スタッフの皆様の監修により、ブースからマイク/ラインで引かれた信号をSSL9000Jのヘッドアンプまたはビンテージ・マイク・プリで受けた後、SSLのバスアウトやパッチベイのADA機能などを使い、均等なレベルで両システムにフィードされるよう設定されました。勿論、HD I/O及び192 I/Oも、ともに日本のレコーディングスタジオの標準仕様である16dBヘッドルームを基準に全ての入出力が均一にトリムされました。

Systemconfig

Analogdevices
用意された豪華アナログ機器陣営!

これらの方法及び設定により、192 I/OとHD I/OのAD, DAをそれぞれに経由した形での比較試聴が可能となり、よりオーディオインターフェイス自体の総合的な実力を感じていただくことができたと思います。

Drumsets
ドラムのマイクセッティング:被りのあるマルチマイクセッティングで録音した素材で、位相管理の違いもチェック!

クリーンな信号経路と正確な同期で「ピュア」な比較

音響ハウス第一スタジオには、SSL9000Jという素晴らしいコンソールが備えられていますが、今回はヘッドアンプ部以外でのキャラクター付けを極力避けるため、そのチャンネルフェーダー及びマスターモニターセクションは使わず、Avid D-Commandを卓上に設置させていただき、モニターセクションも、音響ハウス技術部のアイディアで「日本仕様」となっているX MON-Jに、両Pro Tools HDシステムの信号を入力する形を取り、その信号がスタジオに備え付けのDyna Audioのラージモニター及びスモールモニターであるYAMAHA 10Mに出力されました。

Dcommandes
大胆素敵(?)なD-Command ES 設置方法
アナログ・コンソール側も通電する為、熱がこもらないよう板などで底を塞がないのがポイント

また2台のPro Tools HDシステムには、一台のAvid Sync HDからマスタークロックが提供され、Satellite Linkオプションにより、ニア・サンプル精度で同期が取れるように設定することで、比較モニター中のモニターソース時の切り替え時にも極力タイミング・ギャップを感じないよう配慮がなされました。

素晴らしい演奏と録音テクニック

JAM companyのメンバーには、1 stアルバム『musicolony』の一曲目に収められている“JAM com #1”を、リハーサルも含め3テイク演奏していただきました。

Jammember_b
演奏するJAM companyのメンバー。各回とも1テイクで決めていただきました!
編成は、サックス、ギター、ベース、キーボード、ドラムの5名ですが、サックスとベースは、サブブース内で演奏。ギターアンプもアイソレートして録音しました。音響ハウス第一スタジオは、広くて,このバンド編成でもきちんとした録音環境/設定で「一発録り」可能です!

Jam5
今回演奏していただいたJAM company(左から 伊原"anikki"広志:Gt、後藤克臣:Ba、本間将人:Sax、佐藤雄大:Key、衣笠智英:Dr)

使用されたセッションファイルは、午前中に行われたリハーサル時に、HD I/O装備のPro Tools HD側で、D-Commandを使って山田氏によってモニター・バランスが調整され各入力に対するフェーダー位置を決めた後、そのセッションファイルを192 I/O装備のPro Tools HD側で取り込み、以降はPro Tools側のレベルは、どちらのシステムも一切いじらずに作業が進められました。また、極力、I/Oのピュアな実力を比較できるようプラグインも最小限にとどめ、録音時にはメロディーを奏でるサックスにリバーブ(D-Verb)を実施するにとどめました。

厳しい制約と限られた時間の中、JAM companyの皆様の素晴らしいパフォーマンス、そしてエンジニアの山田氏のマイクセッティング、マイクプリ選定及び設定における「マジック」により、厳密な比較試聴の雰囲気の中にも、音楽的な要素も含みながら、現実のスタジオワーク/音楽制作に即した、素晴らしい比較試聴会ができたと思います。

Mryamada
用意されたマイクプリ等のビンテージ・アナログ機材に「気」を送る(?)山田氏。
そう思える程、魔法のようにどんどん素晴らしいサウンドが構築されて行きました。

192 I/O vs. HD I/O – その結果は?

参加していただいた皆様は、都合3回、異なったスタイルで試聴を行っていただき、最後のブラインド試聴時に、好みのサウンドの方を投票していただきました。

  • 録音中のモニターサウンドを切り替えながらの試聴
  • 録音した素材を、どちらが192 I/Oで、どちらがHD I/Oかを告げながら試聴
  • ブラインドテスト:上記を行った後、録音した素材のどちらが192 I/OかHD I/Oかを告げずに試聴し、好みの方をブラインドで投票してもらう方法

1と2は、それぞれ固定した座席での試聴でしたが、3回目はD-Commandの入力ソース切替ボタンを自ら切り替えていただきながらセンターポジションでご試聴いただいきました。

その結果、1回目2回目を通しHD I/O側を好みだと選んだ方は32名、192 I/Oを好みとした方は10名となりました。

Voting
2回目(5時からの部)の投票結果。手前がHD I/O票。
「どちらがHD I/Oでしょう?」ということではなく、お好みの方を選んでいただくという投票方法でしたので、2回目の20:2の大差はむしろ意外……ちなみに、1回目は12(HD I/O):8と接戦でした。

HD I/OでHEAT !

今回は、I/O自体の音質比較以外にも、Pro Tools HD用の新しいオプションであるHEATの説明及び試聴も行いました。

テープやチューブ等のアナログ・シミュレーションであるミキサー・アド・オンHEATの特徴は、倍音成分のコントロールです。今回のような「生」のバンドサウンドを豊かな質感を持つビンテージ・アナログ機器を通して録音した素材は、まさにHEAT向きだったのかもしれません。弊社スタッフから機能について簡単に説明があった後、山田氏による実演では、アナログ・テープ・マシーン完全「復元」設定や、そこに真空管アナログ機器を加えたケースのシミュレーションなど、幾つかのバリエーションを、最高のモニター環境の中で楽しめました!

HD I/Oサウンドを聴きに行こう!!

セミナー終了後、JAM companyのメンバーとエンジニアの山田氏で、その日演奏した3テイクの中から1テイクを選び、今後のHD I/Oセミナー用に最終的なオーバーダブ及びミックスが行われました。

こうして完成されたAvidバージョンの”JAM com #1”は、11/17より開催されるInterBEE国際放送機器展Avidブース及びPro Tools HDディーラー・ブース及びそれに続く幾つかのHD I/Oセミナーで試聴可能となります。

お時間ございましたら是非、ご来場いただき、HD I/Oを使って誕生した、素晴らしい演奏とミックスに耳を傾けてください!

【講師プロフィール】

Image_2 山田 ノブマサ 氏

大学在学中よりジャズ、ロックなどのバンドでドラムを演奏する。卒業後、東芝に入社し電子回路の設計を担当。

1986年にビクター・スタジオに入社した後、1993年にフリーランスのエンジニアとなり、2000年に開設した自身のスタジオamp'box Recording studioを拠点に活動を行っている。
ロック、ポップス、R&B、ファンクから2ch同録のジャズまで守備範囲は広く、ラテン音楽のリズムにも造詣が深い。

これまで近藤等則、一三十三一などを手掛けてきたほか、LOVE PSYCHEDELICOの制作にはエンジニアとしてだけでなく、ミュージシャンとしても深く関与している。

Masato_honma_3

【JAM company プロフィール】

DREAMS COME TRUE・スキマスイッチ・ゴスペラーズなど、数多くのトップ・アーティストたちのライブやレコーディングなどで引っ張りだこの、サックス奏者でありアレンジャーでもある本間将人。彼が中心となって結成されたユニット。

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