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2015年6月24日 (水)

東映デジタルセンター ~邦画初のDolby Atmos作品「THE NEXT GENERATION パトレイバー首都決戦」のサウンドとワークフローに迫る!~

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2013年10月より営業が開始された、東映株式会社のポストプロダクション部門であるデジタルセンターにより運営される劇場用作品専用のダビングステージ1(Dub1)。本インタビューでは、同ダビングステージにて制作された邦画で初めての Dolby Atmos 対応作品となる「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」のサウンドとワークフローについて、同社デジタルセンターポスプロ事業部課長「室薗 剛」氏にさまざまな角度からお話をうかがいました。

 

Dolby Atmosの導入は監督へのプレゼンから

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従来のチャンネルベースのミキシング方式を採用する平面的サラウンドをさらに発展させ、まさにサウンドの3D表現を可能にするDolby Atmosは、国内でも続々と対応上映館が誕生しており、急速にその導入が進んでいます。現在、そんなDolby Atmosに対応した初めての邦画として「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」が、2015年ゴールデンウィークから公開されました。同作品にDolby Atmosが採用された経緯について、室薗氏は「最初は、押井守監督もDolby Atmosについてあまり詳しくはご存知なかったので、そのサウンドの魅力や優位性、有効性などをプレゼンテーションすることから始まりました。実際には、弊社Dub1へ監督をお招きし、当時公開されていたDolby Atmos対応作品を素材に、そのままでDCPパッケージを再生する形でお見せしました。当初はやや懐疑的であった監督も、Dolby Atmosを一聴した瞬間に、直感的にそのアドバンテージを理解してくださり、それからは非常に前向きに作品へのDolby Atmos採用が進むこととなりました。弊社デジタルセンターとしても、実写版パトレイバーという、Dolby Atmosの特性を存分に生かすことのできる非常にエンターテインメント性に富んだ劇場映画作品に、Dolby Atmosを採用していただいたことにとても感謝しています。」と語ります。

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Dolby Atmosの採用が決定した「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」のダビング作業には、邦画初 Dolby Atmos 作品となることもあり、スケジュールにも十分に気を使ったといいます。「私としても、監督からのご希望や演出を、どの程度までいかにしてDolby Atmosで実現できるかの試行錯誤の期間などを鑑みて、通常のMA作業と比較するとやや長めとなる約3週間のスケジュールを組んでダビングに臨みました。とはいえ、Dolby Atmosにしたからといって、ダビングのスケジュールを必ずしも長く確保しなければならないかというとそんなことはなく、今後はDolby Atmosでの作品制作も増え、さらに我々のノウハウの蓄積なども進めば、おそらくは従来とそれほど大きくは違わない期間でダビングを行うことが可能になるでしょう。」と室薗氏。

 

Pro ToolsSystem 5ならDolby Atmos制作に戸惑うことはない

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Dolby Atmosに関するワークフローをイメージすると何か非常に特殊な作業や多くの工数を要するように感じますが、実際の作業はこれまでの5.1チャンネルや7.1チャンネルサラウンドの延長線上にあるとのこと。それでは、今回の作品におけるDolby Atmos制作は具体的にどのように実現されたのでしょうか。「機材面でいえば、Dolby Atmosを再現できるダビングステージや各種環境はもちろん必須ですが、レコーダーやコントローラーとして手に触れるものは、これまでのサラウンド制作と同様の Pro Tools であり System 5 のままです。Dolby Atmos においてベッドやオブジェクトと呼ばれる各チャンネルについては、Pro Toolsのフェーダーやプラグイン、さらにSystem 5からも直感的に操作が可能となっており、最新バージョンではRMUを含むモニタリング関連の機能もさらにインテグレーションが進みましたので、その洗練されたオペレーション環境に戸惑うことは少ないのではないでしょうか。そういった意味では、実際の作業や操作という部分より、Dolby Atmosならではの演出方法や感覚、その効果の生かし方といった部分のほうに大きな違いを感じるはずです。本作品では、作中のナレーションが非常に多いのですが、実はこの声を監督からのリクエストで、天井に配置されたスピーカーに定位させ「天の声」にしてあるんです。映画館でご覧なる皆さんもきっと驚かれると思いますよ。

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ちなみに、今回のダビング作業にあたっては、ベースとなるプリミックスの段階から基本的には7.1チャンネルを採用しており、ファイナルミックスの段階では、効果音が128チャンネルと64チャンネル、セリフが40チャンネル、音楽で32チャンネルなど多数の出力をすべてSystem 5へと入力しミキシングを行いました。さらに、そういった事情もあり必然的にレコーダーへ入力するチャンネル数も134チャンネルにまで増えてしまいましたので、レコーダーとして使用するPro Tools側に、MADI I/OおよびPro Tools | HDXカードを急遽増設し対応しました。これにより、ファイナルミックスの録音と同時に、ステムミックスの録音も行うなど、一連のワークフローの中で副次的に発生するようなレコーディング作業にも、非常に効率良く柔軟に対応可能な環境が構築できたと思います。」(室薗氏)

 

シーンの雰囲気をさらに盛り上げるアンビエンス感にもご注目!

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このように最新のスタジオとAvidソリューションにより制作された邦画初の画初のDolby Atmos作品、「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」のサウンドには、Dolby Atmosの魅力が惜しみなくつぎ込まれています。「本作品は、シネスコサイズかつ1カットが比較的長いものが多かったので、全般的にパンニングもしやすく、さらにDolby Atmosを生かすにも最適な映像となっていました。1カットが長いことで、シーン中でサウンドを移動させても違和感を感じることが少ないなどのメリットがあるんです。さらに、セリフ、効果音、環境音といった各種サウンドの定位感とバランスにも細心の注意を払っており、映像に非常にマッチしたサウンドに仕上がったと感じています。また、Dolby Atmosならではの包み込まれるようなスピーカー配置から生み出される高解像度かつリアルなアンビエンス感は、けっして派手なものではないですがシーンの雰囲気をさらに盛り上げるのに大きく貢献していますので、ぜひそんなところにもご注目いただきたいですね!

個人的に、Dolby Atmosの大きなアドバンテージは、そのダイナミックなサウンド表現はもちろんのこと、さらに高まったサウンドの解像度の部分にあると感じています。その違いは、現在映像コンテンツがフルHDが2Kや4Kにへと高解像度化しようとしているかのごとくであり、一度味わってしまうと今までの環境に戻れなくなってしまうくらい圧倒的なものです。皆さんには、ぜひ劇場に足を運んでいただき、そんな緻密さと大胆さを兼ね備えたサウンドにも耳を傾けていただきつつ、“THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦”を存分に楽しんでいただければ幸いです!」(室薗氏)

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 東映株式会社
 デジタルセンター ポスポロ事業部
〒178-8666 東京都練馬区東大泉2-34-5
http://www.toei-digitalcenter.jp/

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課題

  • 7.1chプリミックスを含む膨大な数のチャンネル数を扱うDolbyAtmosミキシング作業をスムーズに制作

ソリューション

  • System 5、Pro Tools | HDX システムをベースとするAvidソリューションにより、Dolby Atmosでも従来と同じミキシング環境を構築

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