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2015年8月 7日 (金)

Pro Tools 12のI/O設定方法: 音楽とポスト作業のための機能強化と新機能について

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Pro Tools 12I/O設定方法: 音楽とポスト作業のための機能強化と新機能について

Pro Toolsベースのセッションを、市販の機器類と繋げる場合、I/O設定は大変重要です。I/O設定は、Pro Toolsの開発者にとっても、ユーザーにとっても、極めて深くかつ複雑な存在でした。過去数年間、Avidはこの分野での改善を後押しする数々のフィードバックを受け取りました。このブログでは、これらの改善の裏にある考え方を紹介し、Pro Tools 12の新しいI/O設定について説明します。

これらの改善のきっかけとなったもののひとつが、異なるシステム間でセッションを交換する時に発生する圧倒的な数のバスでした。当初は、全てのバスを常に維持することを考えていましたが、それでは使用されないバスが大量に作られてしまいます。そこで、「捨てても安全なバスはどれ?」という疑問が生じ、セッションとハードウェアを区別することに繋がりました。これについては、後でもう少し説明します。

次の改善点は、ユーザーのワークフローにおいて、セッション交換の柔軟性がいかに重要であるかということにフォーカスしました。セッションは、様々な方法で使用される様々なサイズの様々なI/Oを行き来します。ステレオ出力だけのもの、サラウンド機能があるもの、外部のミキシングボードへセッションを送るために使用されるもの等、多様です。セッションのI/O構成に自分の構成を上書きする方法をよく聞きますが、その場合も、思い通りに出力されるように、セッションで追加調整が必要なときがあるかもしれません。つまり、I/O情報とセッションのルーティングをそのまま保存しておける方が望ましいわけです。

 

Pro Tools 12の変更点

  • セッション交換時の予測性および柔軟性を向上
  • プレイバックエンジン仕様のI/O
  • バスを無制限にサポート
  • 自動ダウンミックス
  • ソフトウェアベースAFL/PFL
  • セッションからI/O設定をインポート
  • 複数のハードウェア・アウトプットへ多重バス
  • エラーレポートおよびトラブルシューティング・ツールの改善
  • 小規模システムから大規模システムへのスムースな移行
  • “チャンネル幅”によって整理可能となったアウトプット・メニュー
  • バグ修正

 

システム設定

I/O設定の変更は、セッション(ソフトウェア)とハードウェアを真に分離するというデザイン方針に基づいて行われました。Avidのハードウェアは、多くの場合、物理的接続を伴う静的装置です。セッションは、もっと動きのあるもので、仮想的接続を伴います。これは、どのようにハードウェアをパッチ・ケーブルでパッチできるかというようなことです。同様に、セッションにはバスがあります。I/O設定の改善には、下記のようなアプローチで臨みました。

“バスはセッションと共存させる。その他のタブは全てハードウェアに関連させる。新しいセッションには、ハードウェアにパッチする独自のバスセットが付随する。”

 

I/O設定を行う

それでは、I/O設定を簡単に説明します。

20150804iosetup01output

まずはハードウェアから設定することを推奨します。ハードウェアと接続に関連するインプットとアウトプットを作成し、名前を付けます。インサートを加え、ハードウェアのディレイを設定します。

 

アウトプット設定

20150804iosetup02outputsettings

I/Oを設定したら、アウトプット・タブを開き、アウトプット設定を行います。

  

 

モニターパス

Pro Tools 12で新たに加わった設定です。おそらく、I/O設定の中で一番重要な設定です。モニターパス設定により、オーディオ・モニターにメインで使用するアウトプットを設定することができます。

これは、次のように機能します。システムでモニターパスに割り当てられるセッション内のバスは全て、セッションが行き来する新しいシステムのモニターパスに割り当てられます。これによって、常に意図するオーディオが聞こえます。モニターパスは、小さなスタジオ・モニターのアイコンで表示されます。

 

ダウンミックス

20150804iosetup03downmix

Pro Tools HDでは、出力が小さい他のHDシステムにセッションを送る場合、信号を自動的にミックスダウンします。5.1チャンネルでミキシングしていて、ステレオ出力しかない人にセッションを渡す場合、ミックスを5.1からステレオへ自動的にダウンミックスします。

ミックスダウンは、シグナル・チェーンの後の方で、物理的出力の前に行われます。これによって、セッション内のオートメーションやルーティングが変更されることはありませんし、戻る間に失われる心配がなくなります。この柔軟性の強化がなければ、モニターパスは不可能だったでしょう。ミックスダウンは、トラックのアウトプット・セレクターで“>”の印で表示されます。

I/O設定は、バスタブに異なるアウトプット・チャンネル幅を表示して、違いを知らせます。

20150804iosetup04busdownmix

 

オーディションパス

オーディションパスより、AudioSuiteプラグイン、Clip List、Workspaceなどの場所のどこから何が聞こえるかを決めることができます。

Pro Toolsの新しい自動ダウンミックス機能により、チャンネル幅を気にすることなくオーディションパスを設定できるようになりました。

 

AFL/PFL

AFL/PFL(Pro Tools全モデルに搭載)設定により、Pre Fader Listen/Post Fader Listenに対応する送り先を選択することができます。この機能により、メインのアウトプットを邪魔しないよう、ソロ・トラック用に独立したアウトプット・パスを設定することができます。これまでは、XMONだけの機能でしたが、Pro Tools 12ではソフトウェアから直接設定することができるようになりました。また、Pro Tools 12では、あらゆるチャンネル幅で出力可能です。シグナルは必要に応じてダウンミックスされます。

AFL/PFLの仕組み選択したアウトプットがメイン・アウトプットと同じ場合、メイン・アウトプットはミュートされて、ソロ信号がメイン・アウトプットから聞こえます。その他のアウトプットはそのままです。

選択したアウトプットがメイン・アウトプットと違う場合、ソロの間はメイン・アウトプットがそのまま聞こえます。ICONコントロール・サーフェスで“ブロードキャスト・モード”として知られた機能と同様の動作を提供します。

 

バス設定(無制限になりました!)

ハードウェアを設定したら、次にバスを設定します。バスは、様々な場所へトラックをルーティングするために使用されます。内部で使用したり、ハードウェア・アウトプットにマップしたりできます。デフォルトでは24の一般的な内部バスのみですが、必要に応じて、簡単に作成することができます。Pro Tools 12では、無制限にバスを使用できるので、必要に応じていくつでも作成することができます。

 

ハードウェア・アウトプットへ多重バス

ラフなヘッドフォン・ミックスやその他のレコーダー等では、複数のアウトプットへ特定の信号をいつも送っている場合があります。I/O設定により、バスタブから直接“MULT”設定することが可能になりました。この設定により、常に複数の送り先へルーティングされる単一バスを選ぶことができ、その結果、セッション内で重複割当てを避けることができます。

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[アウトプットへのマッピング]セレクターで“Ctrl+クリック(OSX)”または“Start+クリック(Win)”モディファイヤを使い、追加アウトプットを選んで、複数にすることができます。

 

バックアップ

ハードウェアとバスを設定したら、I/Oのバックアップをエクスポートしましょう。変更された後にI/Oを復元するためだけでなく、新しいセッションの作成時にバスを設定するためにも使用することができます。

 

セッションのワークフロー

セッションを作成

新規にセッションを作成すると、ダッシュボード内にI/O設定セレクターが表示されます。前回セッションを作成した時にカスタムI/Oを選択していない場合には、[前回使用(Last Used)]がデフォルトになります。

[前回使用]には、セッション作成時にI/O設定にあるものが使用されます。

セッションを作成したら、新しいバスを加えたり、既存のバスをカスタマイズしたりします。次のセッション作成時に[前回使用]を使うと、新しいセッションにはこれらの変更が反映されます。

セッションを他の人から受け取って開いた場合、新規でセッションを作成する時に[前回使用]は使わない方が良いかもしれません。バスをカスタマイズしたいと思うかもしれませんからね。I/Oをカスタム設定したら、カスタムのI/O設定を直接エクスポートするのが良いでしょう。すると、セッションを新規作成時に、カスタムのI/O設定はI/O設定リストから、アクセスできます。そうすれば、いつも自分のデフォルト設定に戻ることができます。カスタムI/O設定を選択すると、記憶されて、次回他のセッションを作成した時に、その設定が選ばれます。

  

セッションを開く

セッションを開くと、自動的に最後に開かれたセッションから既存のバスが削除されて、新しいセッションに関連するバスが取り込まれます。これで、バスリストはきれいに維持されます。

 

通知

内部ルーティング接続に加えて、バスもハードウェアへのパッチ・ポイントです。他のシステムでハードウェア・アウトプットにマップされたバスは全て、現在のシステムのハードウェアへのマップを試みます。モニターパスは、常に適切にマップします。その他のバスは、一致を探しますが、見つからない場合、Pro Toolsは、どのバスがどのアウトプットにマップできないかを通知します。

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セッションを開く前にI/O設定を開く

マッピングにトラブルが生じたとPro Toolsが知らせる場合、セッションの通知ダイアログにI/O設定ボタンが表示されます。これにより、セッションを完全に開く前にI/O設定を開き、問題を解決することができます。

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I/O設定ウィンドウでトラブルシューティング

I/O設定を開いて問題を解決する必要がある場合、何が起きたのかを解明するヒントが幾つかあります。

 

バスタブ

バスマッピング

セッションが最後に保存されてからハードウェアの割り当てに変更があった場合、バスに表示するようになりました。バスがマップする適切なアウトプットを検出できない場合、前回マップされたバスを“path n/a”という表記と共に斜体文字で表示します。

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モニターパスにより、自動的に新しいアウトプットにマップされたバスは、緑色で表示されます。また、[前回のアウトプット・マッピング(Previous Output Mapping)]という新しいカラムが現れます。ここには、バスが最後にマップされたアウトプットを表示します。マップされたアウトプットが分かったら、アウトプット・タブへ行き、[前回保存したセットアップを表示(Show Last Saved Setup)]をクリックして、最後に保存されたハードウェア構成を確認することができます。

 

ハードウェア・タブ(インプット、アウトプット、インサート、マイクプリアンプ)

[前回保存したセットアップを表示]

[前回保存したセットアップを表示]ボタンは、以前からI/O設定にありますが、反応がかなり速くなりました。最後にセッションを保存してからI/O設定に変更があった場合、このボタンが点灯します。これは、I/O設定を最後にOKしたものと同じものとは限りません。

[前回保存したセットアップを表示]は、前回のセッションで保存されたハードウェア構成を理解しようとする際に特に役立ちます。また、前回保存した後の些細な変更部分を比べるためにも使用することができます。

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ボタンが点灯されている時、全てのハードウェア関連のタブは、セッションで最後に保存されたものを反映します。モニターやオーディションのパス等も含まれます。

  

セッションから復元

ウィンドウ下部に[セッションから復元(Restore from Session)]ボタンがあります。このボタンを使うと、セッションで最後に保存されたI/O設定を呼び出すことができます。変更がある場合はいつでも[セッションから復元]ボタンを押すことができます。[前回保存したセットアップを表示]と一緒に使用すると、復元しようとするものを見ることができます。

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復元ボタンは、タブ限定のボタンです。しかし、[全てのタブに適用(Apply to all tabs)]チェックボックスをチェックする、または、Option+クリック(OSX)またはAlt+クリック(Win)すると、全てのタブに適用することができます。

  

セッションの相互運用

複数システム間で交換

I/Oには様々なサイズや種類があり、それらは、様々な方法で使われます。Pro Tools 12では、これらのI/Oとセッションの結び付けをうまく扱えるように幾つか改善が施されています。

新しいI/Oマッピングのロジックは、2つのルールに従って定義しました。

  1. シグナルを間違ったアウトプットへ送らないこと
  2. 少なくとも、最も重要なアウトプットは確実に聞き取れること

 

このため、アウトプットへバスをマップする時には幾つかの条件があります。

  • モニターパスを使用する。モニターパスは、必ず聞こえるメインのアプトプットです。システムAのモニターパスにバスをアサインした場合、システムBのモニターパスへ自動的にマップされます。アウトプットの名前やフォーマットが違っても問題なくマップされます。
  • セッションは前に乗っていたシステムを覚えています。それゆえ、マッピングに失敗して修正した場合、セッションはいつも、その時点のシステムから適切に開かれます。セッションがシステムを離れて戻るまでの間に、他の幾つかのシステムで開かれた場合にも同様です。
    • この記憶は、アウトプットがリストされている間だけ維持されることにご注意ください。アウトプットを削除し、最初から作り直す場合、セッションにはシステムの記憶がなくなります。セッションを受け取るたびに、I/Oを消し去らない方が良いのは、このためです。アウトプットの名前を変更しても構いません。しかし、削除して、作り直してしまうと、記憶は失われます。これは、アウトプットには隠れたIDが含まれていて、新たに作られるアウトプットには、新しいIDが付くためです。I/Oのコピーを.PIOファイルとしてエクスポートして保存する場合、オリジナルのアウトプットを復元することができます。
    • システム・メモリーのもうひとつの素晴らしい点は、テンプレートです。日常的に同じ人々とセッションをやり取りする場合、セッションを一往復する間にI/Oマッピングの問題を修正したら、テンプレートとしてセッションを保存することができます。テンプレートから作成されるセッションには全て、マッピング先の記憶が刷り込まれます。
  • モニターパスとシステム・メモリーのいずれも、バスをマップしない場合、新しいシステムにオリジナルシステムと全く同じ名前とフォーマットのアウトプットがある時だけ、バスがアウトプットへマップされます。つまり、ルール#1、「シグナルを間違ったアウトプットへ送らないこと」を守ります。

 

プレイバックエンジンの切り替え

プレイバックエンジンは、インプット数、アウトプット数、物理的接続数等が様々に異なるI/Oです。別のプレイバックエンジンでセッションを開くのは、異なるシステムでそれを開くようなものです。これが私たちの方法です。

Pro Tools 12は、プレイバックエンジン毎に別々のI/O設定を維持します。プレイバックエンジンはそれぞれ、定義されたインプット、アウトプット、モニターパスやオーディションパス、その他のハードウェア関連の設定を記憶します。バスは、別のシステムであるかのように、マッピング・メモリーを維持します。これによって、ユーザーは、それぞれのプレイバックエンジンを思い通りに設定することができます。セッションは、それに従い適応されます。

  

追加の変更

Pro Tools 12ではその他にも多くの点が強化されています。

セッションからI/O設定をインポート

セッションから直接I/O設定をインポートできるようになりました。何らかの理由で、I/Oのバックアップを保存し忘れた時、セッションに保存されたものと同じルーティングを入手したい時には、I/O設定ページにある[設定インポート]ボタンを使い、セッション・ファイルを直接指定することができます。

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インポートボタンは、タブ限定のボタンです。しかし、[全てのタブに適用]チェックボックスをチェックする、または、Option+クリック(OSX)またはAlt+クリック(Win)すると、全てのタブに適用することができます。Pro Tools 10および11のセッション・ファイルでも有効です。

 

大規模システムの設定

I/Oの範疇を超えてインプットおよびアウトプットを作成することができるようになりました。これにより、小規模なシステムを使って、大規模なシステムの設定を事前に行うことができます。

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メニュー構成

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[初期設定(Preferences)] > [表示(Display)]タブへ行き、[種類(Type)](従来の動作)、[幅(Width)]、[種類と幅(Type and Width)]から、メニュー構成を選ぶことができます。これで、探しているアウトプットやバスを幅によって検出し、特定のサブパスを探すために長いメニューをソートする必要はなくなりました。

  

 

 

 

 
これで以上です。変更はたいして大きなものでないように思えるかもしれません。しかし、多くのことが詰まっています。今回の改善によって、みなさんのワークフローと生活が少しでもスムーズに、楽になるよう願っています。そして、もちろん、今後も引き続き改良を続けていきます。皆さまからのご意見をお待ちしています。I/O設定の経験について、どうぞお気軽にコメントをお寄せください。

 

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Pro Toolsで作曲、録音、編集、ミキシング-数々の受賞歴を誇り、ミュージック、オーディオ・ポスト・プロダクションのプロフェッショナルが選ぶクリエイティブ・ツールを無償でお試しいただけます。

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クリス ウィンザー

Avid Pro Toolsの製品デザイン・チームの一員。ミュージックおよびオーディオ・エンジニアの経歴を持ち、過去7年間は、数多くのPro Tools制作ワークフローに深く関わってきました。

 


 

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