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2016年1月 5日 (火)

【Avid Blogs】『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』におけるサウンドについて

サウンドの世界において、『スター・ウォーズ』以上に象徴的かつ革新的なサウンド・デザインの映画はありません。サウンドのプロにとって、映画スター・ウォーズの制作に携わる機会を得ることは、一生に一度の大きなチャンスです。しかし、同時に巨大な責任がのしかかります。良い映画を作るだけでも十分難しいのに、何十億もの人々が大切に思う冒険物語のレガシーを継承することは、大変な難題です。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のサウンドを手掛けるチームの目標は、画期的であると同時にクラシックな映画を作り出すことでした。だから、相当なプレッシャーです。

まず、あまり触れられない話題について話をさせてください。それから、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のリスクの高さについてその理由を話しましょう。1999年、スター・ウォーズ・シリーズで、前作の過去を描く作品が公開された時、多くのファンは、何というか、がっかりしました。もちろん、決して悪い映画ではありませんでした。ただ、愛してやまないヨーダとの再会を一世代待ち続けた熱狂的ファンの期待に直面したのです。過去を描いた続編は盛り上がりにかけましたが、次のスター・ウォーズに対する人々の熱望がしぼむことはありませんでした。むしろ、誰もがさらなる(より質の高い)スター・ウォーズ映画を切望していました。

 

首を長くして待っていた

J・J・エイブラムス監督が続編を指揮するという話が出た時、期待は一気に高まりました。自分たちが求めるオリジナル感を創出できるのはエイブラムスであると、ファンには分かっていました。映画製作において、世界トップの人材を集める能力に定評ある彼ですが、『フォースの覚醒』でのドリームサウンドチームは、それを立証しています。彼のサウンドスタッフには、スター・ウォーズ界と深いつながりを持つサウンド・デザイナーのレジェンドだけでなく、ハリウッドの新進気鋭の若手エンジニアも加わりました。若手の1人、サウンド・デザイナー&ミキサーのウィル・ファイルズ氏は、映画公開前の予告編全編のミキシングを担当しました。

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ウィル・ファイルズのフォースは強い

先月、ファイルズ氏は、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の作業を一時中断し、東京で開催されたInter BEE 2015期間中、Avidブースにてプレゼンテーションを行いました。予告編のミキシングに使用した本物のPro Toolsセッションを持ち込み、エンターテイメント史上、最も多く視聴された映画予告編の制作において、全ての音響要素をどのように連携するかについて詳しく解説しました。プレゼンテーションの後、スター・ウォーズにおける新たなサウンド作成について、制作チームについて、スター・ウォーズのレガシーを守るという責任について、ファイルズ氏から話を伺いました。また、ライトセーバーについても聞きました。

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Inter BEE(東京)でのウィル・ファイルズ氏

 

アンソニー・ゴードン(以降AG): スター・ウォーズ映画で働くことについては、一世一代のチャンスのように感じられたのではないでしょうか。どのような経緯で参加することになったのですか?

ウィル・ファイルズ(以降WF): まさに、子どもの頃からの夢がかないました。スター・ウォーズ映画で仕事ができるなんて、思ってもいませんでした。Skywalker Soundで働き始めた時には、既にエピソード3が完成していました。その時は、最後のチャンスを逃したと思いました。

AG: 当時、続編を作る計画はありましたか?

WF: 私が知る限り、当時、その後の計画は何もありませんでした。JJが次のスター・ウォーズ映画の制作を計画していると知ったのは、『スター・トレック イントゥ・ダークネス』を手掛けている時でした。多くの者が瞬間的に、「すごい!スター・ウォーズ映画をやることになるぞ!」と考えました。

AG:  『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の前に、スター・ウォーズの最初のシリーズで音響を担当したエンジニアと仕事をしたことはありますか?

WF: あります。私の素晴らしい先輩であるランディ・トム(Randy・Tom)は、『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』と『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』の両方に携わりました。面白いことに、彼は、ジェダイではプロダクション・サウンド・ミキサーであり、ポストプロダクションでもミキシングを手掛けていました。それゆえ、ルーカス・フィルムでは、撮影現場とポスプロの両方にいて、両方の工程を見ていました。70年代後半から80年代前半のカリフォルニア北部では、サウンドのポストプロダクションに関しては、極めてクリエイティブな、映画制作者に重点をおいたやり方で、L.A.で当たり前に行われていたやり方とは、いささか異なる独自の方法で進化していました。

AG: ILMとSkywalker Soundは、共に、映画製作に必要な技術を作るために創設された会社ですね?

WF: その通りです。2つの会社は、技術性と創造性、両面における限界を広げるというジョージ・ルーカスの願いから生まれました。それは彼にとって、当時のハリウッドには存在する必要がなかった創作の自由というものだったのではないかと思います。彼らは、全く新しい何かを作ろうとしていることを理解していたので、それには、新しい技術を作り出す必要がありました。スター・ウォーズの雰囲気はまさに、全く新しい領域だったのです。

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Pro Tools | S6コントロール・サーフェスの技術がファイルズ氏をサポート

  

AG: どのようにあの雰囲気を作成したのでしょう?

WF: 多くは、ILMが視覚的に考え出したものですが、独自の雰囲気は、画期的なビジュアル・エフェクトとサウンドの合わせ方によって生まれたものだと確信しています。多くは、ベン・バート(Ben Burtt)の思いつきからでした。彼は、異星生物、ロボット、武器、マシンの全てに命を吹き込みました。『スター・ウォーズ』以前、ほとんどのSF映画の音は、シンセサイザーか、人工的に聞こえる他の方法で作られました。外へ出かけて、本物の音を録音し、それを基に作り始めるというベンの手法は、画期的でした。ベンは、録音した音を操って、どこかで聞いたような、しかし、ユニークで未来的な音を創りだしました。彼にとって最も重要なことは、それらの音が、“本物”に聞こえることでした。それには、豊かな想像力が必要でした。考えてみてください。これまで一度も聞いたことがないブラスターやライトセーバーの音って、どんな音でしょう?

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WF: ライトセーバーの音を聞くと、ブーンという音に加えて、少し調子が悪いような電気のスパーク音がします。これは、ジョージ・ルーカスの「未来の使い古し」という考え方を表しています。何一つ、真新しく見えたり、新品に聞こえたりするものがあってはならず、戦いを経てきたような、ちょっとくたびれた様子に見えなければならないのです。

AG: この映画のサウンドチームの編成に関して、JJはどのような考え方を持っていたのでしょうか?

WF: チームは、JJの制作会社Bad Robotのいつものメンバーと、『スター・ウォーズ』界で働いてきたベテランの混合チームでした。ベンとルーカス・フィルムにとって、これまでの作品の流れを維持することはとても重要でした。それで長く仕事の経験を共にしたスタッフが集められたんだと思います。

ゲイリー・ライドストロム(Gary Rydstrom)とマット・ウッド(Matt Wood)は、スーパーバイジング・サウンド・エディターでした。マットは、『スター・ウォーズ』のエピソード1から3と、その間の全TVシリーズを担当しました。彼こそ、15年以上にわたりルーカス・フィルムが『スター・ウォーズ』のサウンドを任せてきたエンジニアです。『ジェラシック・パーク』のT.Rexを担当し、『ターミネーター2』、『タイタニック』も担当したレジェンドであり、ヒーローです。ゲイリーは、主にサウンド・エフェクトを担当し、マットは主にダイアログを担当しました。私の友人で、ダイアログおよびミュージック・ミキサーのアンディ・ネルソン(Andy Nelson)は、JJのほぼ全ての映画に参加しています。

AG: サウンドデザインでは、どのように作業を分担しましたか?

WF: 映画では、チームとして取り組まなければならないサウンドデザインが膨大にあります。ゲイリー、デビッド・アコード(David Acord)、クリス・スカラーボジョ(Chris Scarabosio)と私は、映画のサウンドデザインを担当しました。もちろん、この映画用に制作した新しい音に加えて、旧三部作から、ベン・バートが作成したシンボル的なサウンドを数多く使用しました。しかし、最終的には、ゲイリー・ライドストロムが、サウンド・エフェクト担当スーパーバイザーであり、サウンド・デザイン全体を指揮しました。

AG: 予告編での仕事は、映画の最終的なサウンドとどのように関係しますか?

WF: 予告篇は、Kyloのライトセーバー、BB-8の声、新しい車両や武器等、映画の中の新しいコンセプトの音を、映画のカットや個々のシーンとは異なるコンテキストで確認する一種の試験場として使うのですが、それがこの仕事の楽しいところです。予告編では、1つ1つのショット、1つ1つの音が細かく観察されることが分かっていたので、予告編に組み込む音の選択はリスクの大きな賭けでした。集中して難しい決定を下すには、期限だったり、観客に見せるというプレッシャーが時には必要です

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ライトセーバーの音について激しくやり合うWill Filesと私

 

AG: JJは、最終的に決めた音をどのように選んだのですか?

WF: それは、音にもよりますが、通常は、彼が1つに決めるまでには、数多くの選択肢を渡さなくてはなりません。自身がミュージシャンであり、心底音を大切に思うJJには、これならと思う音に出会うまでに、何十もの異なるバージョンの候補を作ることになると予測できました。

AG: 作った音は全て同時に提案したのですか?それでは、大変な数になりそうですが。

WF: そうでもありません。大抵、段階的に行います。通常は、片手程度の数の音を提案し、彼が検討したら、そのフィードバックを基に、戻ってまた幾つか作るということを繰り返します。一部のハイ・コンセプトなシーンにも、同じことが繰り返されます。彼と映像エディターがレビューおよび検討するために、ほぼ毎日、私は新しいアイディアと新しいサウンドで新しいミックスダウンを作成していました。創作のプロセスはとても楽しいものですが、とにかく時間がかかります!

AG: 新しいライトセーバーについて話しましょう。予告編が流れ始めた時、新作について最も語られたことは、セーバーを灯す時の音でした。この反応は、予測していましたか?

WF: 驚きでした。非常に多くの人が、とても興奮した反応をみせたことは、私にとってとても嬉しいことでした。しかし、一番興味深かったのは、人々が、その音が意味するニュアンスを捉えたことでした。音が若干不安定であり、普通のライトセーバーではないことにも気付きました。音は怒っているように聞こえます。もちろん、それは意図的なものでした。ライトセーバーでは、機械的に欠陥があるような音にすることが重要でした。そのほうが、もっと危険に聞こえるとJJが考えたからです。アイディアは、視覚的に伝えられますが、視覚だけでは、その全てを伝えることはできません。最終的に情報を完成するのは、音です。私たちの脳は得体のしれない動きをします。どうやら、人は音によって、物事に対する感覚が増幅するようです。気付かぬ間に、感じやすくなるのです。そこが、恐らく、この仕事で一番気に入っている部分です。

AG: 良いお話が聞けたところで、インタビューを終わりたいと思いますが、何か付け加えたいことがあれば、お願いします。

WF:そうですね、是非、「Dolby Atmos」の環境で見てください。

 

『フォースの覚醒』のような物語に息を吹き込むのは、音響と映像の融合です。それが、エピソード7において、ウィル・ファイルズ氏をはじめとする非凡な才能と、多くのポストプロダクション・スタッフが、情熱と創造性を持って臨んだプロセスです。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のメイキングに関する情報は、こちらもご覧ください。

貴重なお話をお聞かせいただいたウィル・ファイルズ氏、Bad Robotのチーム、及び映画に関わった全ての友人に感謝いたします。彼らの仕事によって、全ての世代が、自分たちの『スター・ウォーズ』と呼べる次の章を得ることができるのです。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。最後に一言、フォースがあなたと共にありますように。

 

 


オリジナルブログ著者

アンソニー・ゴードンPhoto_3

Avidでアーティスト・リレーションのシニアマネージャとして、世界中の多くのトップアーティストがプロジェクトでどのようにAvid製品を活用しているのかを、直接彼らから聞けることを幸運に思います。自身もミュージシャンとして、レコーディング・アーティストとして、常々インスパイアされています。皆さんにストーリーをシェアするのを楽しみにしています。

 


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